あけましておめでとうございます
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はお久しぶり、麻布学園化学部です。
1月も下旬に差し掛かってこんなタイトルのブログを投稿することになるとは思いませんでした。諸事情(主に僕が修論の執筆をしていたこと)により、長い間ブログの投稿が滞ったことをお詫びします。改めまして、今年もよろしくお願いいたします。
さて、今日の活動では甘味料や香料の合成実験を行う部員が多く、特に香料によって、実験室内はいつにも増して異様な香りに包まれていました。
部長が合成していたのは、サッカリンという砂糖の数百倍の甘さを持つ甘味料でした。まあ舐めてみる訳にもいかないので味を確かめることはできませんが…ちなみにサッカリンは世界初の人工甘味料とも言われています。
また、他のとある部員が合成していたのはγ-ウンデカラクトンという香料で、桃の香りの主成分であることからピーチアルデヒドという別名がついています。これに関しては以前投稿した「香料について」の記事で詳しく紹介しているので気になる方はご覧ください。
そして僕が合成していたのは、クマリンという桜の葉やシナモンに含まれる香料です。こちらに関しても前述の記事で紹介しています。
ところでこのクマリン、良い香りがする以外にも特徴があります。それは蛍光です。ブラックライトなどを当てると緑色に光るという性質があり、例えば軽油に灯油や重油を混ぜた不正軽油を防止するために、重油や灯油に混ぜられたりしています。
話を戻して、今日僕がクマリンの合成を終えて抽出をしようとしている時、誤ってクマリンが溶けた抽出溶媒が手についてしまいました。その結果…

ブラックライトを当てない場合

ブラックライトを当てた場合
このように、ブラックライトを当てると手が蛍光するようになってしまいました。まあ手にブラックライトが当たる瞬間なんてほぼないのでいいですが…
今日の活動はこんなところでしたが、せっかくなので以前の活動で行ったチタンの陽極酸化についても解説しておきます。

こちらが陽極酸化を行ったチタンです。左側が本来のチタンの銀色ですが、右側は酸化皮膜が形成されて色がついています。
まず、皆さんは酸化皮膜についてご存知でしょうか。例えば、博物館や美術館、はたまた弊化学部の文化祭展示などでビスマスという金属の結晶を見たことがある方がいるかもしれませんが、表面が虹色に光っていますよね。

ビスマスの結晶
これも熱されたビスマスの表面が空気中の酸素によって酸化され、酸化皮膜ができたことによるものであり、本来ビスマスは銀白色ですが表面が酸化して光の干渉を起こすことで虹色に見えています。
チタンの陽極酸化においては、これを水酸化ナトリウム水溶液などの電気分解によって行います。陰極を炭素棒、陽極をチタンプレートにしてそれぞれ溶液に浸して電気を流すことで、陽極側で発生する酸素がチタン表面に酸化皮膜を作り出してあのような虹色にするのです。ちなみにチタンプレートは部長の自費です。
今日はこんなところでしょうか。また、文化祭がほぼ100日後に迫っていることもあり、文化祭に向けた実験の練習や物販の計画なども進んでいます。ぜひ5月の文化祭をお楽しみに。
それではまた次の記事でお会いしましょう。良い一日を!
2025/1/20 麻布学園化学部広報K.N
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