油から石鹸
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はお久しぶり、麻布学園化学部です。

早速ですが、こちらはまいばすけっと西麻布店さんで購入させていただいたサラダ油です。今日はこれで石鹸を作りました。…と言ってもどういうことか分からない方も多いと思いますが、いわゆる「鹸化」というやつです。順に説明します。
①石鹸とは?
石鹸が汚れを落とせるのは、石鹸分子が親水基と疎水基(親油基)でできている界面活性剤だからです。疎水基が汚れに吸着して包み込み、外側となった親水基が水と結びつくことで汚れが浮いてくる…というような説明を聞いたことがあるかもしれません。では具体的に親水基と疎水基とはなんなのか。
(合成洗剤などでない)石鹸は、基本的に脂肪酸ナトリウムという化学物質です。脂肪酸というのは簡単に言うと炭化水素鎖の端にカルボキシ基(COOH)がついた物質のことで、このHがNaに置き換わりCOONaになったものが脂肪酸ナトリウムです。炭化水素鎖の部分が疎水基、COONaの部分が親水基となります。ちなみに石鹸は大体炭素が14~18個くらい含まれる高級脂肪酸(炭素数が多い脂肪酸)のナトリウム塩です。

↑こんなかんじ
②油脂とは?
サラダ油の主成分は油脂であり、れっきとした化学物質です。簡単に言うと、グリセリン1個と高級脂肪酸3個が合体したようなつくりをしています。(さっきみたいに構造式を書こうと思ったのですが流石にめんどくさいので諦めました。すみません)
つまり、油脂の構造中に含まれる高級脂肪酸から高級脂肪酸ナトリウム(石鹸)を作ろうという訳です。

早速やっていきます。このサラダ油に水酸化ナトリウム水溶液を加え、水溶液と油を混ざりやすくするためのエタノールも加えて加熱しながら攪拌して反応させます。するとだんだんと油脂と水酸化ナトリウムが反応し、グリセリンと脂肪酸ナトリウムが生成します。もう石鹸ができました。

…とは言っても、この石鹸はまだ実用するのに問題がありすぎます。1つ目は、反応に使った強塩基の水酸化ナトリウム水が残っているため、これで手を洗うと手が溶かされることです。怖いですね。ということで残った水酸化ナトリウムを中和するために酸を加えますが、ここで加える酸を間違えてはいけません。石鹸は弱酸の塩なので、例えば塩酸のような強酸を加えてしまうと、弱酸遊離で石鹸がただの脂肪酸になってしまいます。脂肪酸よりも弱い酸ということで今回は炭酸を用いて中和しました。
2つ目の問題点は単純に水分が多すぎてモチョモチョしていることです。しばらく放置して乾かします。
3つ目は石鹸なのに全くいい匂いがしないことです。正直サラダ油の匂いしかしないので、次に作るとしたら香料を混ぜます。
という訳で次回の部活では、石鹸が乾いていたら実際に使ってその性能を見てみようと思います。お楽しみに。
それではまた次の記事でお会いしましょう。良い一日を!
2025/2/17 麻布学園化学部広報K.N
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