カフェインの抽出

　はじめましての方ははじめまして、そうでない方はお久しぶり、麻布学園化学部です。

　今日はふとカフェインの抽出実験をしようと思い立ったのでやってみました。(後で気づいたのですが、写真を全然撮っていませんでした…なるべく分かりやすく解説するのでご容赦ください)

　今回使ったのはこの部長に買ってきてもらった缶コーヒーです。まずはコニカルビーカーに入れたコーヒーに炭酸ナトリウムを加え、アルカリ性にします。こうすることで抽出しやすくなります。

次にこれを分液漏斗に入れ、ジクロロメタンという液体も一緒に入れてよく振り混ぜます。カフェインはジクロロメタンに溶けやすいため、コーヒーに含まれていたカフェインはジクロロメタンの方に移動します。

(ちなみに分液漏斗とは上の画像みたいなやつです。丸い部分に液体が入った状態でコックを開けると液体が下の方から流れ出ていくため、下の方の液体だけを分けて手に入れることができます。)

ジクロロメタンとコーヒーは水と油のように混ざり合わないため、分液漏斗の中で二層に別れます。ジクロロメタンは水より重く、下の層になるため、分液漏斗のコックを開ければカフェインが溶けたジクロロメタンだけが下に流れ出るのです。(もちろんコックを開けっ放しにすると上のコーヒー層までも流れ出てしまうので、丁度いいところでコックを閉めます)

さて、これでカフェインが溶けたジクロロメタンを手に入れられた…と思いきや、このジクロロメタンにはカフェインだけでなく細かい水の粒が入って濁っています。そこで、ここに硫酸ナトリウムを加えて再び混ぜることで、脱水して水の粒を取り除くことができます。あとはろ過して硫酸ナトリウムを取り除けば、今度こそカフェインが溶けたジクロロメタンができました。

ここまで来ればあとは簡単で、ジクロロメタンを蒸発させればカフェインだけが残ります。ジクロロメタンは40℃弱で沸騰しますが、有害なため蒸発させて空気中にばら撒くわけには行きません。リービッヒ冷却器で液体に戻して回収します。

ジクロロメタンが完全に蒸発すると、フラスコの底にカフェインらしきものが残りました！

…と言っても、確かに色はカフェインと同じで白っぽいですが、果たしてこれは本当にカフェインなのでしょうか。ということで、確かめるために再結晶させてみましょう。これが本当にカフェインなら、白い針状の結晶が出来るはずです。先程の白い固体を少量の温めたエタノールに溶かしたあと、エタノールを冷やすことで、溶けた白い固体が再び析出します。これをろ過して乾燥させると…

このようになりました。よく見ると、かなり小さいですが白い針状の結晶が集まって出来ています。どうやらカフェインを抽出できたようです。カフェインって単体だとこんな見た目なんですね。

今回は急ピッチで実験を行いましたが、今度は時間をかけてさらに大きな結晶にしたり、もっとカフェイン含有量の多いものを使ったり、収率の計算もしてみようと思います。ご期待ください。

　それではまた次の記事でお会いしましょう。良い一日を！

2024/12/14　麻布学園化学部広報K.N